トライリンガル目線での英語!子供の育て方 バイリンガル日記

国際結婚し長い海外生活を経た筆者の目線で、英語(多言語)や子育て、音楽を主なテーマとし、役立つ情報や社会への想いを綴るブログです

蜜蜂と遠雷に出てくるピアノ曲の難易度と楽譜を徹底解説!ピアノを習っている子供に目指せそうな曲はある?

世界的コンクールをテーマとした話なので、当然とても難しいピアノ曲がほとんどですが、中には趣味の習い事でピアノを習っている子供も弾ける曲や、弾くことを目標とできるものもあります。

50曲近い曲が登場しますが、1/3程度は演奏したことがあり、コンチェルト(ピアノ協奏曲)以外はほとんどの曲の楽譜に目を通したことがあります。

曲目をリスト化したサイトはあっても、なかなか弾く人にとっての「難易度」を扱ったページがなかったため、ここでは「難易度」を解説しながら、弾きやすい曲を中心に紹介していきます。

 

 

ピアノ

平均律1巻の1番 BWV846 プレリュードはおなじみのあの曲

蜜蜂と遠雷では、キーパーソンである風間塵が、コンクールの第一次予選の最初に弾きます。「平均律」というとなんだか難しそうですが、誰しも聞いたことのあるこの曲のことです。


平均律クラヴィーア 1巻 第1番 ハ長調

平均律はプレリュードとフーガに分かれているのですが、フーガのほうは4つの声部に分かれていてとても難しいです。

しかし、前半のプレリュードのほうは、ピアノを数年習っている子供でも弾けます。

この曲は多くのピアノ教室で使われる教材「ソナチネアルバム(全音)」にも載っています。

 

ソナチネアルバムにもうすぐ入るくらいの子であれば、音を取るだけならそれほど苦労せずできると思います。

誰でも知っている名曲ですので、弾いてみるととても楽しいと思います。

 

ソナチネアルバムとは?

ちなみに「ソナチネアルバム」は、ブルグミュラー25の練習曲の後くらいに始める古典派(ベートーヴェンモーツァルトの時代)の曲集です。

ソナタ(というクラシック音楽の形式)よりも規模が小さい、短めの曲がソナチネです。

全音が出版しているこの「ソナチネアルバム」に入っている曲の中には、「ソナチネ」でない形式のものもいくつかあり、出版社の判断で曲が集められています。

 

練習曲集で言うと、チェルニー100番が終わって30番を弾いている頃にピアノ教室で習うことが多いですが、あくまで大体の目安であり、人によって違います。

ぐっと曲らしい曲が弾ける曲集なので、

この記事では、この「ソナチネアルバム」を基準にして難易度を書いていきます。

 

モーツァルト ピアノソナタ12番 K332 (第1楽章)

モーツァルトピアノソナタのなかでもとても印象的なこの曲は、ソナチネアルバムの曲をいくつか弾いた後くらいからチャレンジできる曲です。

蜜蜂と遠雷では、風間塵の第一予選の曲として使われています。


Mozart KV 332 I

中間部分がとてもかっこよく、テレビのCMやBGMなどでもときどき使われています。

モーツァルトなのできちんと弾くのは結構難しいですが、音そのものはシンプルで譜読みはしやすいです。

意外と小さい子供が弾いた方が、モーツァルトらしく素敵に聞こえたりします。

 

モーツァルトというとトルコ行進曲が人気ですが(トルコ行進曲も実は別のピアノソナタの3楽章です)、このK332はオクターブ連続などは出てきませんので、手の小さい子供さんにはこちらのほうが若干弾きやすいと思います。

 

おなじみ全音ソナタアルバム1にもはいっており、楽譜も手に入れやすく、とても有名な曲です。

小説では1楽章しか出てきませんが、こちらは3楽章もとても素敵なので、全楽章通して弾いてみても良いと思います。

 

 モーツァルトの他のピアノソナタや、K332の3楽章についてはこちらでもまとめています。↓

www.sararalife.work

エリック・サティ Je te veux (あなたが欲しい)

風間塵の第3次予選のプログラムで、曲の間に挟んで弾いて効果的に使われたのがこのJe te veuxです。

風間塵は、ジャズピアノや即興演奏も天才的に弾くという設定になっていました。

このJe te veuxもパリの香りが漂ってくるようなとてもおしゃれな曲です。

 


Jean-Yves Thibaudet plays Satie - Je Te Veux

 

音が飛ぶ伴奏など、こういう雰囲気の曲に慣れていないと難しい面もありますが、全体的にはソナチネに入るころには弾ける程度の難易度です。

途中からでてくる付点のリズムやワルツの雰囲気など、独特なおしゃれ感を出すのも最初は難しく感じるかもしれませんが、一度弾けるようになるととても楽しい曲だと思います。
 
教本に載っている曲はつまらない!と思う子供にもおすすめの一曲です。
 
オクターブでメロディーラインを弾く箇所がありますが、それ以外は比較的易しく書かれています。オクターブがギリギリだけど弾きたい!という場合は、オクターブを単音でとってしまってもいいかもしれません。
 

 

 メンデルスゾーン 無言歌集より春の歌 Op62-6

この曲は第三次予選でJe te veuxの後に続けて風間塵が弾く曲です。

とても可愛らしい雰囲気で、とくにピアノを習っていない人でも知っている超有名曲ですよね。


Felix Mendelssohn - Song without words, Op. 62 No. 6 

聞いた感じはそんなに難しそうに聞こえないのですが、実はこの曲を綺麗に弾くのは結構苦労します。ハープをはじいているような綺麗なアルペジオをリズムよく入れるのが難しいのです。

でも、その部分を練習さえすれば華やかでとても素敵な曲です。

難易度は、モーツァルトソナタが弾けるようになったくらいで弾けます。

手はそんなに大きくなくても大丈夫です。

蜜蜂と遠雷に出てくる曲のなかでは弾きやすい部類の曲です。

 

モーツァルト ソナタ13番 K333

有力な優勝候補のマサルが1次予選で弾くのが、モーツァルトのK333です。

上で紹介したK332と難易度的にはさほど変わらないのですが、K333にはモーツァルトらしさがぎゅっと詰まっています。


Mozart KV 333

聴いていると穏やかな気持ちになれるようなメロディが素敵ですよね。

個人的にはモーツァルトのなかでもどことなく大人っぽさの漂う曲だと思います。

他の作曲家よりも、モーツァルトの曲が好き!という子におすすめの一曲です。

 

全音ソナタアルバムの2巻にも入っています。

 

 

ただ、モーツァルトソナタを何曲か弾くようになってきたら、作曲家別の楽譜のほうがおすすめです。 いろんな版がありますが、個人的なおすすめは赤い表紙のウィーン原典版です。 原典版なので楽譜も正確ですし(モーツァルトソナタは楽譜によって音が違うこともよくあります)、なによりとても弾きやすい指づかいで書かれています。

手が小さくても弾きやすい指づかいなので、成長過程の子供さんにも向いていると思います。
版についてはいろんな意見があると思いますが、筆者はこのウィーン原典版が一番使いやすいと感じました。
 
2巻には第10番~18番が載っているため、有名なトルコ行進曲の入ったソナタ(10番)、上で紹介したK332(12番)、そしてこのK333(13番)と、有名どころは押さえられます。
 

 ここからは憧れの曲を紹介!

ここまでは、ソナチネソナタアルバムに入ったくらいで、比較的早く手が届きそうな曲を紹介してきました。ここからは、上級の曲だけど、憧れの曲としてぜひ知ってもらいたい素敵な曲をまとめます。上級だけど超難曲まではいかない、習い続けて頑張ればいつか弾ける曲を選りすぐって紹介します。

蜜蜂と遠雷には、いままでメディアなどではあまり取り上げられていない、知る人ぞ知る美しい曲がたくさん使われています。

憧れの曲

 

ショパン 即興曲3番 Op.51

ショパン即興曲は4曲あるのですが、4番の「幻想即興曲」が最も有名で、多くの子供たちの憧れの曲にもなっていると思います。

 

ショパン即興曲3番は、またも風間塵の3次予選で組み込まれています。

選曲がどれもどことなくおしゃれで、独自の世界観が漂っていますね。


Ashkenazy plays Chopin Impromptus - No.3 in G flat Major, Op.51

難易度的には、幻想即興曲とだいたい同じくらいですが、派手さがなくごまかしがきかないですし、深みのある感じをだそうと思うとこっちのほうが難しいかもしれません。

 

途中連続6度も出てきて、その部分を綺麗に弾くのが大変です。

6度を綺麗にひくには、手の大きさがある程度あって、手が開かないといけません。

簡単とは言えませんが、本当に美しく味わい深い曲で、一度聴くととりこになります。

中間の部分の憂いある部分が何とも言えませんね。

幻想即興曲に比べると全然知名度がありませんが、ぜひこの3番も多くの方に知ってもらいたいです。

 

 

シューマン アラベスク Op.18

高島明石の2次予選のプラグラムに入っているアラベスク

この曲はぱっと楽譜を見た感じはそこまで複雑でもなく、上で紹介したショパン即興曲よりも全体的な難易度は低めです。

ただ、3声・4声に分かれていたり(メロディーのラインが3つ4つになっている)、リズムが少し複雑、ときどき手が大きくないと弾けない箇所があったりと、決して子供っぽい曲ではありません。

同じセクションが3回繰り返されており規模も大きく、プロのコンサートで弾かれることもある大人の曲です。

調合がないハ長調でとっつきやすいため、始めてシューマンの本格的な曲に挑戦したいときにもおすすめの曲です。

一見単調で同じ動きが繰り返されるなかに、どう表情をつけていくかがポイントになります。


Schumann - Arabesque (Kissin)

 

 

楽譜は春秋社の楽譜が、指使いも自然で、その他解釈なども詳しく書かれており使いやすいです。

意外なようですが日本の井口版は実は海外でも発売されており、使いやすいという評判をよく聞きました。

日本では楽譜の価格が高めですが、井口版はコストパフォーマンスも非常に高いと感じます。

このシューマン集3には、英伝亜夜が3次予選で弾いたノベレッテンも全曲含まれています。

ほかにはアベッグ変奏曲や花の曲なども入っていますので、シューマンの曲に興味がある人にぴったりだと思います。

 

ドビュッシー 版画 estampes

またしても風間塵の第3次プログラムから、ドビュッシーの版画です。

ドビュッシー中期の曲であり、メロディーラインというよりも、情景をイメージして書かれた曲です。慣れていないと最初は???とよく分からない印象を受けるかもしれません。

でも、よく聞くととても素敵で、聞けば聞くほど面白味のある曲ですので、よく聴いたことがない方は何度か聴いてみてください。


Claude Debussy ‒ Estampes

ドビュッシーの曲、とくに中期以降の曲は譜読みが複雑なものが多いですが、不協和音のような独特な和音や、左右不揃いなリズムなどになれると思ったより楽になります。

 

あとは細かい音をキラキラと綺麗に弾いたり、和音をしっかり弾いたりという動きをクリアしていく感じです。

 

聴いた印象は難解そうですが、この版画の難易度は、ドビュッシーの練習曲よりマシ(下)です。メロディーらしき部分も比較的多いため、とても抽象的なドビュッシー前奏曲の一部のものよりも、版画のほうが理解しやすいと感じます。

アラベスクやベルガマスク組曲子供の領分、ピアノのためになどから、ドビュッシーの名曲をいくつか弾いた後だととりかかりやすいと思います。
この版画は「塔(パゴダ)」「グラナダの夕べ」「雨の庭」の3曲でできており、パゴダは東洋、グラナダの夕べは中東、雨の庭はヨーロッパを思い浮かべながら作られたと言われています。
 
高速な動きがあり短調でカッコ良いイメージの雨の庭が取り上げられることが多いですが、筆者はエキゾチックで他に類のない前2曲のほうが好きです。
 
「パゴダ(塔)」はインドネシアの「ガムラン」という鉄琴のような楽器を使った民族音楽のイメージをもとに作られたといわています。
日本の伝統的な曲(琴の曲など)にも使われるアジアならではの音階が含まれていて、なんともいえない神秘的な空気が漂っています。
リズムや保持音の譜読みが複雑ですが、そこをクリアすれば、あとは恐ろしく弾きにくい箇所はそんなにないです。
キラキラと細かく動く高音を、粒を揃えて綺麗に弾くことがポイントとなると思います。
オクターブや和音もでてきますが、次のグラナダの夕べよりは大分マシな感じです。
手が小さい人にはこちらのほうが弾きやすいと思います。
 
対する二曲目のグラナダの夕べは、マカームというアラビアの音階を取り入れており、オリエンタルな雰囲気が素敵な曲です。
全体を通して分厚い和音の嵐で、途中3段譜も登場します。
いかに和音をつかめるかにかなり左右されるので、手が小さいと弾きにくく感じると思います。 
3段譜の部分は、跳躍の練習を積めば弾けますが、和音でスパニッシュギターを表現する部分が、手が小さい人には大変だと思います。
筆者はなんともならないところは、いくつか音を抜いて弾きました^^;
抜いてもバレないのはどこか、考えながら抜くという感じです。
 
 版画は好みもありますが、どれも絵を描くように、ひとつひとつのモチーフに対して、これは何を表しているのか?を考えながら弾いていける楽しさがあると思います。

 

 このドビュッシー集の2巻には、ほかに「映像」(水の反映や金色の魚など計6曲)や「子供の領分」「練習曲集」が全部入っています。

指使いも無難で、手の小さい日本人に易しい運指だと思います。

グラナダ

 

蜜蜂と遠雷に出てくるピアノ曲 まとめ

キリがなくなってきたので、曲の紹介はこの程度にします。

ここで紹介した「あこがれの曲」はいわゆる「名曲CD」などにはあまり含まれていませんが、ぜひ多くのピアノを習っている子供たちにも知ってもらいたいですね。

 

子供のころに聴いた音楽には、本当に多くの刺激をうけ心に残ります。

これから大きくなる過程で「何を美しく思うか」という意識にもすごく反映されると思います。

この記事では「難易度」にも焦点をあてて紹介しましたが、そういうことを抜きにしても、楽譜を見ながら聴いたり、ところどころ音をとってみるだけでも楽しめると思います。

 

蜜蜂と遠雷のストーリーについてはこちらにまとめています。

www.sararalife.work

 

【追加情報】9月に映画中の演奏ピアニストによる、CDが発売されました!

映画は演奏にもかなり力を入れて作られており、それぞれの登場人物を演じる本物のピアニストがいます。

つまり、演奏にもきちんと演技(小説のキャラクターの個性)が入っています(劇中で使われている曲)。

ピアニストは小説のキャラクター性に合うように選ばれていると思いますが、映画での演奏はストーリーを意識してされたものだと思います。(映画用CDが発売されていることからも、最低でも「意識」はされているハズ)

 

映画用CDはキャラ別(ピアニスト別)に発売されていて、映画中の架空の課題曲「春と修羅」も入っています。この春と修羅がどんな曲なのかというのはもちろんですが、各ピアニストがこのカデンツァ(創作部分)をどのように演奏するのかかなり気になります。

このカデンツァの演奏は物語のキーポイントともなっているので、ぜひ聴いてみたいですね。

 

その他の収録曲はすべてクラシック曲なので、巨匠や世界的に有名なピアニストの演奏をyoutubeでタダで聴くこともできます。

しかし、この映画(小説)のキャラを演奏でどのように表現しているのか(または何をもってピアニストが小説のキャラに近いと判断されたのか)というのは、非常に気になるところです。

 

やはり断トツで気になるのは、小説のキーパーソンとなる天才少年「風間塵」の演奏です。この演奏を実在するピアニストが再現するとどうなるのか???

他の登場人物に当てはまりそうなピアニストは思いついても、風間塵だけは謎なので、公開されたら映画で確認してみたいですね(期待しすぎるとがっかりするかも?)